「わハハハハ」
リビングで父が笑っている。
テレビでお笑いのコンテストを見ているようだ。
父は昔からお笑いが大好きで、私もお笑いライブなんかによく付き合わされたものだ。
でも私が大人になり一緒に出掛けることは減ったし、
父も年老いていくにつれて、病気がちで会場に足を運ぶことは少なくなっていた。
そのうえ最近では寝たきりでテレビを見ることすらできなくなっていた。
そんな父が元気に大笑いしているのはとても嬉しい。
もう見れないと思ってたしね。
だからこそ言いづらい。できればずっとこのままでいてほしいとも思った。
でも、言わなきゃいけない。
そう感じた私は父のいた場所に声をかける。
「あの、お父さんの葬儀、先週終わったんだけど…」
【意味怖】言いづらい の解説
最後の言葉通り、このお父さんは先週亡くなっているよ。
葬儀も終わってやっと落ち着いたと思ったところに、
亡くなったはずのお父さんのような何かがリビングに現れたという状況。
また会えた嬉しさや懐かしさ、でも成仏させてあげなきゃいけないという寂しさやつらさ、
苦渋の決断の末の最後の言葉だね。
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