大学からの帰り、電車を降りてからずっとつけられている。
しかも私が住宅地に差し掛かったのを見てか、私に気づかれても構わないというように、相手は堂々と追いかけてきた。
私はさりげなく振り返りながら早足で進むが、その男との距離はだんだん縮まっている。
いやだ、気持ち悪い。
声を上げて誰かに助けを求めようとしたそのとき、
前方の道の陰から一人の男性がスッと現れて、こう言い放った。
「おい君、いい年をしておいて、こんな二十歳の子のストーカーなんてやめなさい。」
私を追いかけていた男はウっと怯んだ様子で、回れ右をして逃げていった。
「ありがとうございます。助かりました」
「いいんだよ。この辺りの住宅地は人通りも少ないから不審者も出やすいんだよ。いきなり交番の場所を聞いてくる通り魔とか、若い女の家までついてくる警察とかね。」
「そうなんですね。本当にありがとうございました」
「うん、気をつけてね、好美ちゃん。それじゃあ。」
【意味怖】救世主 の解説
この場を助けてくれた男性は、なぜこの子の年齢と名前を知っているのかな?という話。
それに、都合よく前方から現れたことにも違和感を感じるよね。
つまりこの男もまたストーカーで、その途中でたまたま同業者に追われているこの子を助けただけだということ。
一難去ってまた一難。。
書籍も出版中!こっちもよろしくね
『意味が分かると怖い3分間ホラー この世で一番怖い答え・黒』
『1分で読めるこわい話 きょうふ小学校』
新しい本が出たら順次お知らせしていくよ。
良かったら応援してね。