仕事帰り、重いカバンを片手に帰路につく。
ふと気づくと前方に小さな子どもが一人で立っているのが目につく。
こんな遅くに子ども一人?
俺は心配になり、子どものそばで屈んで目線を合わせながら声をかける。
「こんなところでどうしたの?」
「お父さんを待ってるの」
すると父親らしき男性が小走りでやってきた。
「待たせてごめんな。あれ、あなたは?」
「ああ、私はただの通りすがりです。こんな時間に子ども一人だったのが心配で声をかけただけです」
「そうでしたか、失礼しました」
そう言って男性は軽く頭を下げ、子どもを連れていってしまった。
俺は狐につままれたような気分になりながら両手を振って歩き出した。
俺がその違和感に気づくのに、そう時間はかからなかった。
【意味怖】心配 の解説
夜道に子どもが一人でいることで人をひきつけ、それを見た親がすぐにやってくる。
その後親と話して注意がそれている間に子供がカバンを盗む。そういった計画的なスリの手口だよ。
語り手の気づいた違和感というのは、元々持っていたはずの重いカバンを持っていないということ。
「こんなの引っかからないよ~」と思うかもしれないけど、
油断していると意外とすぐには気づけないから、皆も気をつけてね。
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